株価指数とは何か?②
「株価指数=株式相場」ではない
株価指数という言葉は知らないけれど、日経平均株価やTOPIXという言葉なら
聞いたことがある、という人はけっこう多いかもしれません。
テレビや新聞、ネットなどのニュースでは、毎日のように日経平均株価や
TOPIXの動きを伝えています。
日本株の好不調を知りたければ、まずは日経平均株価やTOPIXの動きを
見るべし、という具合に、多くの人びとはこれらの株価指数を
「日本株の全体的な動きの目安」としてとらえているように思えます。
株式市場の全体的な動きは、「株式相場」ともいわれます。
ということは、人びとの間では「株価指数=株式相場」というイメージが
強いのかもしれません。
こうしたイメージから、株価指数に連動するインデックス型の投資信託を、
「株式相場に乗っかることができる金融商品」と考える人もいるようです。
ところが、よくよく考えてみると、株価指数は株式市場の全体的な動きを
表すものではありません。
たとえば現在、東京証券取引所に上場している企業は3788社ありますが、
そのうちTOPIXの対象となる東証1部上場企業は、2192銘柄のみです。
さらに日経平均株価の対象となるのは、その東証1部上場企業2192銘柄のうち、
たったの225銘柄です。
日経平均株価やTOPIXが対象としている銘柄は、日本を代表する企業ばかりだから、
すべての株式銘柄をカバーしていなくても、これらは日本の株式市場の全体的な
動きを表すと、十分に言えるはずだ--。そんな意見もあるかもしれません。
話は少し古くなりますが、私はかつてこんなデータを目にしたことがあります。
2001年から2010年までの10年間に、TOPIXの騰落率(一定期間内の変化率)は
マイナス34%でした。
一方で同じ期間中に、東証1部に上場する全銘柄のうち48%にあたる銘柄が、
プラスの騰落率を記録していました。
それらプラスの騰落率(値上がり率)の平均値は、90%を超えていました。
要するに、この10年間のTOPIXについては次のようなことが言えるわけです。
●東証1部上場銘柄のうち、ほぼ半分が値上がりし、半分が値下がりした。
●平均するとマイナスの騰落率(値下がり率)の方が大きかったため、
TOPIX全体としては騰落率がマイナスになった。
いつもこういう現象が起きるわけではありませんが、少なくとも
この10年間については、TOPIXが日本の株式市場の全体的な動きを
表していたとは、とてもじゃないけど言えないのではないでしょうか。
インデックス型もアクティブ型のひとつ?
投資信託のタイプは、インデックス型とアクティブ型の2種類に大別できます。
アクティブ型では、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが企業を個別に
調査・分析して、自分で投資する銘柄を決めていきます。
株価指数への機械的な連動をめざすインデックス型と、人間の手によって
投資銘柄を決めるアクティブ型は、印象としては別物のように思えます。
しかし、それはあくまでも、株価指数が株式市場の全体的な動きを表すという
前提のうえに生まれてくる印象ではないでしょうか。
つまり、インデックス型は株式相場を素直にまるごと買うものであり、
アクティブ型は株式相場になかば逆らうようなかたちで銘柄を売買して、
株式相場を上回る利益を狙うものである--と。
でも、株価指数とは結局のところ、数ある株式銘柄のなかから
特定の銘柄を選び出し、あたかもパッケージのようにまとめたうえで、
それらの値動きを平均化したり、価値の増減を数値化したものに過ぎません。
だとすれば、株価指数に連動するインデックス型の投資信託は、
「投資する銘柄数が非常に多く、なおかつそれらのほとんどが長期にわたって
固定され続けるアクティブ型の投資信託」とも言えるわけです。
ここまでのポイントをまとめておきます。
《株価指数とは》
●特定の基準に沿って複数の株式銘柄を選び、ひとまとめにしたうえで、
株価の平均値を示したり、時価総額合計の推移状況を数値化したもの。
●国を代表する株式銘柄をカバーしているため、株式市場の全体的な動きを
表すように思えるが、厳密にいえば、そうではない。
●「株価指数が対象とする株式銘柄すべてに、アクティブ型の投資信託が
投資している状況」と同様である。
さて、そもそも投資信託には、どうしてインデックス型とアクティブ型という
2つのタイプがあるのでしょうか。
その理由を知るためには、インデックス型とアクティブ型について、もう少し
細かく比較してみる必要があります。