解✦談

解りやすく、解きほぐします。

株価指数とは何か?①

日経平均株価TOPIXのちがい

 

インデックス型の投資信託は、自身の値動きが、株式や債券などの「指数」に
連動するようにつくられています。

大ざっぱにいえば、私たちがインデックス型の投資信託を買うと、
私たちの投資の成績は、指数の動きと同じになるわけです。

さて、その指数とは具体的に、どういうものなのでしょうか。
株式の指数である「株価指数」を例にとって、考えてみようと思います。

日本の株価指数といえば、「日経平均株価」や「TOPIX東証株価指数)」が
よく知られています。

これらの株価指数は、おおむね以下のような手順でつくられています。

(1)ある特定の基準にそって、複数の株式銘柄を選ぶ
(2)複数の株式銘柄全体について、価値の現状を計算して数値で示す

日経平均株価では、こんな感じです。

(1)東証1部市場に上場している株式のなかで、流動性が高く(取引量が多く)、
   日本経済の実態をより反映していると考えられる225銘柄
   (定期的に見直しと入れ替えがおこなわれます)

(2)225銘柄の株価の合計値÷225

実際には指数の連続性を保つため、いろいろな調整が加えられていますが、
基本的には225銘柄の株価を単純に合計して、その平均値を計算したものです。

一方のTOPIXでは、こんな感じになります。

(1)東証1部上場の全銘柄(現状は2192銘柄)

(2)東証1部上場の全銘柄の時価総額(株価×発行済み株式数)について、
   現在の合計値÷基準日の合計値

具体的には、基準日である1968年1月4日の時価総額合計を100とした場合に、
現在の時価総額合計がどの程度かをポイントで表します。

こちらも時価総額の計算から安定株主の持ち株分を外すなど、いろいろな調整が
加えられています。

時価総額を用いて、いわば「その時どきの価値合計の推移状況」を示す点が、
日経平均株価とは異なる特徴といえます。

 

株価指数が算出されるイメージ 

 

こうした説明だけでは分かりにくいと思うので、私たちが自分で指数をつくったと
仮定して、計算のやり方を確認してみましょう。

何でもいいのですが、たとえば自分にとって馴染みの深い企業3社を選んで、
銘柄A、銘柄B、銘柄Cから構成される「なじみ指数」をつくったとします。

8月4日の株価が、銘柄A=600円、銘柄B=800円、銘柄C=1000円だった場合、
日経平均株価の計算では「(600+800+1000)÷3=800円」となります。

1年後に、銘柄A=1000円、銘柄B=600円、銘柄C=2000円となっていたら、
「(1000+600+2000)÷3=1200円」です。

これを株価だけで、あえてTOPIXの計算にもあてはめてみます。

8月4日の株価合計は2400円で、それを基準日の100ポイントとします。
1年後の株価合計は3600円なので、基準日の株価合計で割ると
「3600÷2400=1.5」となり、それに100を掛けると150ポイントです。

つまり、1年間で平均株価は800円から1200円に上昇し、
株価合計は100ポイントから150ポイントに上昇したわけです。

計算と表示の方法がちがうだけで、両者とも1.5倍になったという点では同じです。

もちろん、TOPIXでは株価ではなく時価総額を用いるし、日経平均株価とは銘柄数も
大きく異なるので、TOPIX日経平均株価の計算がリンクすることはあり得ません。

でも、指数のイメージとしては、それぞれこんな感じで算出されていると
考えておけばいいのではないでしょうか。

ところで、インデックス型の投資信託は、どのようにして株価指数への連動を
実現しているのでしょう。

本来ならば、株価指数と同じ投資状況(銘柄の保有状況)をつくり出せば
いいのですが、それは実はけっこう大変なことです。

日経平均株価に連動する場合は、225銘柄を購入しなければならないし、
TOPIXに連動する場合は、2192銘柄をTOPIX内での時価総額の構成比率どおりに
持ち続ける必要があります。

そのため、実際にはいくつかの手法を用いて、全銘柄を購入しなくても
株価指数に近い値動きを実現できる、いわば「簡易型」の連動システムが
採用されています。

こうした連動システムをいちど確立してしまえば、あとは日々の連動をめざして、
なかば機械的に銘柄を売買すればよいため、インデックス型の投資信託
運営コストがそれほどかからないと言われています。

運営コストが低いという強みを生かして、インデックス型の投資信託では、
投資家へのコスト還元が進んでいます。

ひと頃に比べて、「信託報酬」の水準が驚くほど低くなったのです。

信託報酬は、私たち購入者が毎年負担する「投資にかかるコスト」です。

つみたてNISAに用意されている商品は、すべて金融庁が選んだものですが、
金融庁では国民の資産形成に役立つ金融商品として、投資コストの低さを
重視しています。

その点から、つみたてNISAの商品ラインナップには、おのずと
インデックス型の投資信託が多くなっているわけです。