解✦談

解りやすく、解きほぐします。

私たちは投資信託に、投資するの?

事実上の投資対象とは?

 

投資信託は、人びとから広くお金を集めて、それを株式や債券などに投資する、
いわば「投資代行」のような機能をもった金融商品です。

けれども投資信託は、私たちがやりたい投資を、私たちの注文どおりに、
そのまま代行してくれるわけではありません。

むしろ投資信託の方が、「こういう方針でこれから投資をやっていきます」とか、
「こんな株式や債券などに投資しています」といった商品内容を提示して、
そのなかから私たちが気に入ったものを選ぶ仕組みになっています。

私たちが投資信託を買うということは、投資信託がやっている株式や
債券などへの投資に、私たちが便乗させてもらうことを意味するわけです。

投資信託を利用すれば、たとえ投資の初心者であっても少ない金額から
「投資をプロにお任せできる」などと、一般には説明されています。

しかし現実には、「プロの投資に便乗できる」と表現した方が、
私たちからみた投資信託の特長をより正確に表しているといえます。

ところで、私たちは投資信託に、投資するのでしょうか?

たとえば最近、30歳代以下の若い世代を中心に利用が増えている
「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」では、積み立ての対象となる商品が
199本用意されていて、それらはすべて投資信託です(ETF=上場投資信託を含む)。

私たちがつみたてNISAで積み立てる(買う)のは投資信託なのだから、
当然、私たちは「投資信託に投資する」ように思えます。

ところが実際には、その投資信託が複数の株式や債券などに投資しています。

私たちが投資信託に投じたお金は、そこからさらに複数の株式や債券などへ
投じられているわけです。

投資信託の価格は日々動いていますが、それは「投資信託が投資している
株式や債券など」の価格が日々動いていて、その値動きが投資信託の価格に
反映されているからです。

こう考えてみてはどうでしょうか。

●私たちは投資信託という「プロの投資に便乗できる仕組み」にお金を投じる。

●その仕組みを通じて私たちは事実上、「投資信託が投資している株式や債券など」に
  投資することになる。

 

自分が便乗した投資の中身

 

投資信託を買った人は、その投資信託の価格が日々、上下するのを見ながら、
いま利益が出ているのか、それとも損失を被っているのかを判断します。

言い換えれば、投資信託の価格が上下するのを見ながら、自分が便乗した
「プロの投資」がうまく行っているのか、いないのかを判断するわけです。

うまく行っていても、いなくても、その理由や経緯(いきさつ)を知りたいと
思ったら、私たちは「プロの投資の中身」を見てみる必要があります。

私たちが事実上、投資しているもの、つまりは「投資信託が投資している
株式や債券など」がどのようなものなのか、あらかじめ知っておく、あるいは
改めて調べてみる必要があるのです。

もちろん、投資信託が投資している株式や債券などについて、個別の銘柄まで
細かく調べるのは大変なので、最初からそこまでやる必要はありません。

でも、少なくとも自分が買った投資信託がどのような性質の株式や債券などに、
どのような資金配分で投資しているのかについては、大ざっぱでいいから
把握しておいた方がいいと思います。

たとえば、値動きが大きくなりがちな「中小型株」と呼ばれる種類の株式銘柄に
多めに投資しているのならば、投資信託の価格が上下する幅も大きくなりがちです。

つみたてNISAで用意されている商品は、インデックス型の投資信託が圧倒的に
多くなっています。

インデックス型というのは、株式や債券などの「指数」に連動することを目的に
つくられたタイプです。

インデックス型の投資信託を買った場合、私たちが事実上、投資するのは
「株式や債券などの指数」ということになります。

当然のことながら、つみたてNISAでインデックス型の投資信託を積み立てる人は、
この「指数」について最低限の理解はしておく必要があるでしょう。