解✦談

解りやすく、解きほぐします。

投資と運用のちがいとは?


投資は運用に含まれる?

金融の世界では、まぎらわしい言葉づかいが目立ちます。
たとえば「投資」と「運用」。これ、何がどう、ちがうのでしょう?

手元の辞書には、こうあります。

●投資:利益を得る目的で資金を事業・証券などに投下すること。
●運用:そのものの機能を生かして働かせること。

金融の世界では、こんな使われ方をします。

(1)Aさんは株式投資で年に10%のリターンを得た。
(2)Bさんが持っている投資信託の過去1年間の運用成績はプラス10%だった。
(3)Cさんは資産運用の柱として国債への投資を重視している。

株式投資に運用成績、資産運用…。なんだか、ややこしい。

 

辞書だけではピンとこないので、他の資料にもあたってみると、どうやら
「投資」と「運用」は、こんな風に使い分けられることが多いようです。

●投資:利益を得る目的で、資金を株式などの金融商品に投じること。
●運用:資産を増やす、あるいは減らさない目的で、投資や貯蓄をおこなうこと。

つまり、投資は運用のなかに含まれるという考え方です。

 

でも現実には、こうした使い分けがそれほど重要とは思えません。

言葉の意味からすれば、

上記(2)「投資信託の…運用成績」→「投資信託の…投資成績」
上記(3)「資産運用」→「投資」

と置き換えても、とくに差し支えないでしょう。

 

なぜなら、

投資信託がやるのは、人びとから集めたお金を、できるだけ大きな利益の
獲得をめざして、複数の株式や債券などに「投資する」ことだからです。

また、私たちが資産運用を意識してやろうと思うとき、そこに貯蓄を含めて
考える人は、ほとんどいないと思われるからです。

むしろ貯蓄だけでは心もとないから、「投資によって」お金を少しでも
増やしたい、という気持ちが強いはずです。

金融の世界で使われている「運用」という言葉は、私たちのふつうの
感覚からすればほとんどの場合、「投資」という意味に置き換えてしまって
いいように思います。

投資信託の投資成績」や「投資の柱として国債に投資する」などの
言い方をすると、「投資」という言葉が重なってなんとも不格好なので、
仕方なく「運用」という言葉を使っている感じでしょうか。

 

機関運用家ではなく、機関投資家

 

ただ、それにしても「投資」と「運用」は、まぎらわしい使われ方が多いので、
いくつか例をあげておきます。

●個人で株式などを売買している人の呼び方

・「個人投資家」---◎ ふつうに使われています。
・「個人運用家」---✖  使われていません。
※意味は異なりますが、「個人資産家」という言葉は、たまに見かけます。

 

●年金基金など、大規模な資金を“運用”している組織の呼び方
(年金基金にとって資金を増やすことはもちろん、減らさないことも大目標なので、
 本来の意味から考えて、ここでは“運用”という言葉を使っています)

・「機関投資家」---◎ ふつうに使われています。
・「機関運用家」---✖  使われていません。

投資信託をつくって運営している会社の呼び方

・「運用会社」---◎ しょっちゅう使われています。
・「投資会社」---✖  使われていません。
・「投信会社(投資信託会社)」---△ たまに見かけます。