解✦談

解りやすく、解きほぐします。

殺人事件が起きないミステリー

天の配剤にみる人間への深い信頼 「殺人事件が起きないミステリー小説」の面白さを、北村薫によって知りました。 北村薫の小説にはシリーズものの短編集がいくつかあり、そのうち「円紫さんと私シリーズ」の初期に属するのが、『空飛ぶ馬』と『夜の蝉』(い…

為替について、何をどう考えるか?

円高は輸入に、円安は輸出や海外投資に有利 私たち日本人が「為替」と聞いてまず思い浮かべるのは、「円高」あるいは「円安」という言葉でしょう。 そもそも円高や円安は、私たちの日常生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。 一般によく言われるのは、…

解らなすぎる「時間」の話

640年の時を超えてやってくる 宇宙には数え切れないほどの星があるので、私たちが見る夜空は本来、星によって隙間なく埋め尽くされているはずです。 ときどき写真などで見かける「銀河」と同じように、夜空全体が煌々と輝いて見えてもいいはずなのです。 で…

毎月分配型投信の盛衰にみる不幸

複利効果が効かなくなる いまから4~5年ほど前まで、毎月分配型タイプの投資信託が、日本の高齢者を中心に異常なほどの人気を誇っていました。 毎月分配型は当初、いわゆる外債投信(外国債券に投資する投資信託)が主流でした。 大ヒット商品となった『グ…

心をつなぐ心霊・怪奇現象

胡散臭いけど、いつも身近にあった むかしから心霊現象や怪奇現象は好きな方です。 私だけでなく、私の世代の多くは好きだったように思います。 小学生時代には、つのだじろうの『亡霊学級』『恐怖新聞』『うしろの百太郎』、古賀新一の『エコエコアザラク』…

リベンジ馬券

先輩の直観に乗り切れなかった後悔 競馬はしょせん、ギャンブルのひとつにすぎませんが、それなりに長くやっていると、自分だけのドラマというか、思い出のようなものも生まれてきます。 たとえば私には、「リベンジ馬券」の記憶が2つあります。 ひとつは、…

債券について理解する

リスクはケース別に考える いま投資に興味をもっている人のうち、債券という金融商品について、それなりに理解している人はどれぐらいいるのでしょうか。 投資によって資産を増やしたいのはやまやまだけれど、一方で元本割れはできるだけ避けたいと願う人は…

好きな歌詞あれこれ

歌詞というのは、不思議なものです。 それぞれの歌詞によって、自分の感じ方というか、刺激を受ける部分がさまざまに変わってくるからです。 好きな歌詞に出合うたびに、自分にはこんな感受性があったのか、こういう部分に心を動かされるのかと、改めて気づ…

フォースプレイをめぐる混乱

フォースアウトの判定がなかった 9月13日(月)の中日vsヤクルト18回戦(バンテリンドームナゴヤ)において、かなり珍しい事件が起きました。 得点「1対0」の中日リードで迎えた9回表、ヤクルトの攻撃。 「1アウト1、2塁」で代打・川端が、セカンドゴ…

積立投資による時間分散

「高値づかみ」を避けやすくなる 「長期投資」「分散投資」に加えてもうひとつ、私たちが投資をやるうえで、ぜひとも取り入れたい基本的な考え方が「時間分散」です。 時間分散の具体例として、いちばん分かりやすいのが「積立投資」でしょう。 たとえば投資…

分散投資の意味

値動きの性質が異なるものの組み合わせ 分散投資は「何を分散するか」によって、おおむね2つの種類に分かれます。 ①銘柄分散:日本株なら日本株という同じ金融資産のくくりのなかで、 複数の銘柄に投資すること②資産分散:「日本株+日本債券」「日本株+外…

「書痙」のようなもの vol.2

他人を一刀両断にしてきた因果応報 「書痙」のようなものが発症して以来、仕事でもプライベートでも、トラウマになるような場面は何度もありました。 ・受付で手が震える・プレゼンで声が出なくなる・取材や打ち合わせの最中に汗がどっと噴き出し、同席して…

長期投資の効果

短期の「当たり外れ」は意外と大きい 日経平均株価を10年間で区切って見てみると、面白いことが分かります。 まず、2010年末~20年末の10年間について。 日経平均株価は2010年末が10228円92銭で、20年末には27444円17銭でした。 私たちがこの10年間ずっと日…

投資のリスクとリターン

リターンは何から「ぶれる」のか? 投資とは極端にいえば、「結果として出てくる数字がすべて」という世界です。 なぜ、その数字が出ることになったのかについては、人間の心理状態や社会情勢などをからめて、さまざまに解釈することが可能です。 でも、投資…

「書痙」のようなもの vol.1

足から手へ、震え始めて23年 他人についてよく解らないというのは、まあ当たり前のことですが、自分のことがよく解らないというのは、いったい何なのでしょうか。 なかでも、いちばん解らないのが、自分の身体と心の関係についてです。 1998年の1月だったと…

投資は購入より売却が難しい

売却時に生じる人間の複雑な心理 手持ちの投資信託でも、株式でも、何でもいいのですが、私たちがいま保有している金融商品の一部、あるいは全部について、売却を検討するケースを考えてみます。 手持ちの投資信託や株式が、購入したときより値下がりしてい…

中日ドラゴンズ--弱さの研究②

他球団を代表する野手を相次いで獲得 2004年~11年の落合監督時代は、中日にとって歴史上、唯一の黄金期といえます。 黄金期の強さについては、04年~07年の前半4年間と、08年~11年の後半4年間に分けて考えた方がいいでしょう。 各年のチーム打率と、チー…

中日ドラゴンズ--弱さの研究①

現在の中日は歴史上、最弱である 中日ドラゴンズはなぜ、あきれるほどに弱いのか? この非常につらい問題を考えるために、まず現在の中日がどれほど弱いのかを確認しておきましょう。 中日は2002年~12年に、11年連続でセリーグAクラスに入りました。 その後…

投資と投機

お金を投じる「そもそもの対象」が異なる 「投資」と「投機」のちがいについて、こんな説明をよく見かけます。 ●投資とは、株式でいえば「企業の利益成長」のように、これから価値が 上がっていくことを見越してお金を投じる行為を指す。 いわば「価値の向上…

スーパーウイルスと気候変動

眠っていた怪物が目覚めるリスク 家の本棚に『人類が絶滅する6のシナリオ』という本がありました。 これは2013年に河出書房新社から単行本として刊行され、2017年に河出文庫として再刊されたもの。 著者は、米国の科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカ…

投資の世界になじむ方法

ファンド格付けを利用する 私たちが証券会社や銀行などでふつうに購入できる投資信託は、だいたい5000本程度あるといわれています。 それらを投資対象や投資方針などに沿って、いくつかのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに各商品の格付けをおこなってい…

投資の情報は「使えない」のか?

難しくて、ニーズにも合っていない いま世の中には、「投資」や「株式」「投資信託」などに関連した書籍、雑誌、さらにはネット上の記事があふれかえっています。 コロナ禍で自分についても社会についても、将来が見通しづらくなるなか、新たに投資を始めよ…

インデックス型とアクティブ型

ベンチマークの功罪 アクティブ型の投資信託では、ファンドマネージャーが自分の考えにもとづいて、投資する銘柄を決めていきます。 つまりアクティブ型の投資信託では、投資が上手くいくかどうかは、ファンドマネージャーの力量にかかっていることになりま…

ウルトラシリーズが示した不条理

開発競争のスパイラル 先日、某新聞が「核実験」について詳細に報じていました。 それによると、地球上で過去におこなわれた核実験は合計2000回を超えるそうです。 核兵器については軍事機密の扱いとなるため、核実験の実施国は、いずれも情報の開示には消極…

株価指数とは何か?②

「株価指数=株式相場」ではない 株価指数という言葉は知らないけれど、日経平均株価やTOPIXという言葉なら聞いたことがある、という人はけっこう多いかもしれません。 テレビや新聞、ネットなどのニュースでは、毎日のように日経平均株価やTOPIXの動きを伝…

株価指数とは何か?①

日経平均株価とTOPIXのちがい インデックス型の投資信託は、自身の値動きが、株式や債券などの「指数」に連動するようにつくられています。 大ざっぱにいえば、私たちがインデックス型の投資信託を買うと、私たちの投資の成績は、指数の動きと同じになるわけ…

私たちは投資信託に、投資するの?

事実上の投資対象とは? 投資信託は、人びとから広くお金を集めて、それを株式や債券などに投資する、いわば「投資代行」のような機能をもった金融商品です。 けれども投資信託は、私たちがやりたい投資を、私たちの注文どおりに、そのまま代行してくれるわ…

『なごり雪』の謎②

社会性や現実性の有無 文芸評論家の加藤典洋が、1996年に『村上春樹イエローページ』という単行本を出版しました。いわゆる村上春樹の著作の解説本です。 同書の『ノルウェイの森』を解説した箇所には、以下のようなことが書かれています。 ●自殺した直子は…

『なごり雪』の謎①

春が来て君がきれいになった理由 季節はずれの話をひとつ。 『なごり雪』は正ヤン(伊勢正三)の作詞・作曲で、もともとは1974年3月に発売された、かぐや姫の『三階建の詩』というアルバムに収録されていました。その後、75年11月にイルカがカバーし、シン…

投資って、何をやること?

シンプルな意味は2つ 金融関係の書籍や記事で、こんな表現を目にすることがあります。 ●投資とは自分のお金を経済に参加させて、お金にも働いてもらうことである。●投資を通じて私たちのお金が「社会にとって必要な企業」に回っていけば、 結果として私たち…